<<13-01 赤いロープ>>

その日、彼が用意してくれた夕食を済ませ、コーヒーを飲みながら、テーブル下で足の触れ合いを楽しんでいた。


微笑む彼が一言だけ、呟いた・・・届いたよ! ナニが届いたのか、直感できた。


手を取って仕事部屋へ誘い、バックハグしたまま、明かりを灯す。


ハンガーに掛けられた赤いロープが、目に飛び込んできた。その後ろには、私の白い下着・・見事な配色!


ほら、触ってごらん・・それは湿っていた・・



タオルもそーなんだけど、この手の織物はね、織り機の中で糸を滑りやするための油が染みつくんだよ。


これは立体的だからね-、湯通ししてから洗濯機に入れた。


なので・・・、いたずらっ子みたいな笑みを浮かべて、・・・乾くまでは使えないよ、少なくとも今日はダメだね!



ソファに座り、お姫様だっこで、私のお腹に掌を当てる・・・そもそも、女の子の日、アレは"ちょっと"難しいでしょ!


あ、判ってるんだ、・・・でも、どーして判ったの・・?・・?


戸惑う私にお構いなく、彼は話し続ける。



あの「亀甲縛り」に、君は魅了されていた。


覚えてるよね、下着屋さんで「ロッソのTバック」を買ったとき、やだぁ~そんなの・・と、言ってた・・


あのとき、本音では、少なくとも興味津々だったはず、でも、それを隠そうとしていた。


けれど今回、ネットショップでロープを買う手順を採っているとき、君は嫌がる素振りさえ見せなかった。


そのロープが絡みつく姿を夢想して、君は舞い上がりかけていた。


ユーチューブで縛りの手順を探し、チャンネルが沢山あることに驚いき、更にはその視聴者数にも驚いたよね。


女たちは誰もみな、嫌がる素振りを見せずに、亀甲縛りされていた。


その殆どが金目的の演技かも知れない。


けれども、この数そのものが、この行為が特別なモノでは無いことを、物語っている。


なんと多くのカップルが、この営みを楽しんでいることか!


君が、縛って欲しい、と思うように、他の・・・・



彼が読み解く私の気持ちは、ほぼ的中していた。


だめ、だめ、恥ずかしい・・それ以上は言わないで・・、ハナシを逸らさなきゃ・・



ねぇ、私が"ちょっと"だってこと、どーして判ったの?


んっ、今朝、トイレでなにかが落ちる音がした・・・気にも留めなかっんだけどね。


君がシゴトに出た後トイレに入り、その音の原因が判ったよ・・ストックしたトイレットペーパを落としたでしょ!


あの奥に、君のナプキンが"隠してある"ことを思い出して、あぁ、そーか、始まりそーなんだな、って思っただけだよ。


ナプキンの横に、タンポンもあるよね、持っておいで、入れてあげるから・・



ハナシを逸らすつもりが、もっと恥ずかしいコトになり始めた。


今日は多い日・・勤務先を出る前に変えたけど・・見ないで・・


動かない、いや、動けない私を膝から降ろし、じゃあ、ボクがとって来よう・・